働き方改革実現会議で正社員と不正規社員の不合理をなくす「同一労働同一賃金」実現のための指針案を12月20日に示しました。
正社員と同じ仕事をする非正規社員の賃金は「同一の支給をしなければならない」と明記し、賞与や通勤費などの手当の支給も必要だとしました。
一方、指針案は能力や成果、勤続年数の違いによる賃金差も容認しており、格差がどこまで許容なのか不透明です。
指針案は、基本給、賞与や通勤費などの手当のほか慶弔休暇といった福利厚生や教育研修、派遣労働者など項目ごとに考え方を整理しました。
賃金の大きな比重を占める基本給は、金額を決める基準を「職業経験・能力」「業績・成果」「勤続年数」に分類。仕事の成果や経験に基づく賞与などの手当と同様に、職業経験などが同じであれば非正規も同一待遇とし、違いがあれば「相違に応じた支給にしなければならない」と基本給の待遇格差を容認した。
仕事の内容や成果に関わらないとして、通勤費や深夜・休日手当のほか、休暇や食堂利用などの福利厚生は同一待遇を明記。派遣労働者の待遇は、同じ仕事をする派遣先企業の社員と同じにしなければならないと示しました。
待遇の差がある場合の立証や説明を企業側に義務付けるかは触れられていません。
「同一労働同一賃金ガイドライン案」には、同じ待遇にしなければならないケースと格差が容認されるケースの例示が盛り込まれました。
一部を紹介しますと、
(基本給)
○キャリアコースを理由として正社員の基本給を高くする。
(将来の幹部候補として様々な仕事を経験したり転勤したりすることが含まれるた
め)
×労働時間の長さが違う正社員と非正規のノルマが同じ。
(時間当たりの成果に応じて支払う)
(賞 与)
×正社員には業績への貢献度に応じた賞与を支給するが、非正規には支給しない。
(同じ貢献度なら同様に支給する)
(役職手当)
×責任の範囲が同じでも非正規には役職手当が支給されない。
(相違があれば、それに応じた額の支給)
(深夜手当)
×同じ深夜時間帯に勤務しているのに割増率に差を設ける。
(深夜に働くという負担は同じ)
(通勤手当)
×非正規に通勤手当がない。
(仕事の内容と関係がなく、出勤の負担は同じ)
(福利厚生)
×非正規に慶弔休暇がない。
(誰にでも起こる事なので、差をつけるのは不合理)
改正案は来年に国会提出する予定です。