作成日:2020/10/17
日本郵便訴訟「格差は違法」最高裁判決
日本郵便の契約社員らが正社員と同様に各種手当や休暇を与えるよう求めた訴訟で、最高裁は15日、扶養手当や有給の病気休暇などに関して「不合理な格差で違法」として、契約社員にも認める判断をした。
最高裁は13日の別の訴訟判決で、退職金と賞与の請求を退けた。一連の判断で賃金や手当、休暇といった幅広い項目に言及したことになる。
◆判決で認めたのは、扶養手当、病気休暇、年末年始勤務手当、夏期・冬期休暇、祝日給の五つ。
@扶養手当について
生活保障や福利厚生を図り、継続的な雇用を確保目的がある。こうした趣旨は長年働いている契約社員にも当てはまる。
A有給の病気休暇
療養に専念させ、継続的な雇用を確保する目的があり、長期雇用されていれば区別するのは不合理。
B年末年始勤務手当・祝日給
繁忙期に働いた対価であり、区別するのは不合理。
C夏期・冬期休暇
労働から離れ、心身の回復を図る目的があり、区別するのは不合理。
●手当や休暇の付与は広がった一方、賞与と退職金は格差是正の道筋は示されていない。
賞与や退職金は、手当ほど趣旨が明確でなく「複合的な性質」があり、正社員が働く「動機づけ」という意味合いがある場合には、使用者に一定の裁量が認められる可能性がある。
いずれの場合も、「支給する趣旨(性質・目的)」が重要であり、長期雇用もポイントなる。