明らかに残業をした場合は、労基法により定められた割増賃金を支払わなければなりませんが、「未払い残業代」請求の場合は、工夫の余地がある場合もあります。
現在、ほとんどの残業代訴訟は和解で終わっているそうです。
会社が受け身に回っていては労働者側に有利と判断されてあっという間に終了します。
会社が如何に動いて提案するか、これが重要になります。以下に、その方法、考え方を示しますので、参考にしてください。
(1)会社が先手を打って労働時間認定の基準を提案する。
労働時間の管理が徹底されず、客観的な証拠がなく労働時間の認定が難しい場
合があります。たとえば、運送会社の場合、車両に「タコグラフ」が付いています。運行
時間は一目でわかりますが、問題は車が動いていない時間をどう判断するかです。こ
の時何をやっていたか、どのくらい時間がかかったか。この場合、伝票でカウントするのも
一つの方法です。積み荷は様々ですが、伝票1枚につき「○分」と決め基準を設けて
算出します。
(2)客観的事実を探し出す。
タイムカードのない会社の場合、労働時間を記載した手帳等を証拠品として提出
する場合があります。新品かボロボロか、本当に毎日書き留めたものかなど、「おかし
い」という矛盾点、問題点を探し出す。
(3)同種労働者と比較する。
たとえば、同じ部署で同じような仕事をしている同僚の労働時間と比較してみる。
(4)パソコンの場合は作業履歴を調べる。
自分が不利なファイルを削除している場合があるが、専門業者に依頼して一定期
間のファイルを復元する。ファイルの作成時間と労働時間の差異を指摘する。
(5)実際に同じ作業をしてみる。
営業マンであれば、別の営業マンに同じルートで再現させ、記録を取る。

作成日:2016/07/28
トラブル事件簿【未払い残業代の計算について】